教育CSRの引き出し

2018年7月26日更新

 一言で言うと、企業のメリット・学校のメリットが両立するように企業と学校現場をつなぐ仕事。
そんな教育CSRのコンサルタント業務に携わって今年で11年目を迎えます。
その役割を通して、日々気づいたこと、感じていることを書いていきたいと思います。

第2回「アクティブ・ラーニングって何ですか?」問題

 2020年度から完全施行される次期学習指導要領。いくつかのキーワードがあがっているが、やはり一番の注目は「アクティブ・ラーニング」ではないだろうか。
 ところで、ここで言う「アクティブ・ラーニング」って何だろうか、私は壁に当たってしまった。

 教育CSRコンサルタントにとって、教育現場の最新動向を、教育についてほとんど知識や情報を持たないであろう企業の担当者に説明し、理解を深めてもらうことは大事な仕事の一つだ。教育現場の実情を知っていただた上で企業がすべきこと、できることを一緒に考え、活動に落とし込みをしていく必要があるからだ。
 文科省から出ている議論の経過、答申、まとめを読んでみたり、教育委員会の指導主事や先生方にヒアリングをしてみたり。目指しているもの、言わんとしていることは何となく分かる。しかし、「アクティブ・ラーニングとは〇〇〇です」という明確な答えが見つけられないでいた。明確な答えが見つけられなければ、自分の言葉で説明することができない。とてもまずい。

 あれやこれやとしているうちに、アクティブ・ラーニングが「主体的・対話的で深い学び」と日本語化された。問題解決の糸口が見つかった。「学び」という言葉だ。
 「学び」とは「学ぶ過程」だ。主体的・対話的で深い学びの過程を実現するには、どのような場設定をするとよいかを考えて授業設計し、授業をしてくださいねということか。方法論ではなく授業設計、授業実施時の考え方なのだ。とてもすっきりした。
 そして、日々の私の仕事は「主体的・対話的で深い学び」なのではないかと考えてみた。

 例えば、授業用プログラムを開発する場合。
1.プログラム構成を考える
① 授業のねらいは?
② ねらいを達成するためにぴったりな活動は?必要な資材は?
③ ②の活動を児童生徒が「自分ごと」にできる仕掛けは?
④ ねらいが達成できたかどうか確認する方法(まとめ方)は?

2.開発チームを組んで制作
 開発するものに合わせて、チームを組む。クライアント、弊社、監修者、大学、制作会社、印刷会社、学校など。

3.パイロット授業の実施
 テスト版を使った授業実施・検証

4.納品・リリース

 主体的か?自分の意思、判断によってプログラム構成を考えている。クライアントの意向や条件など縛りはあるが、「どういうものにするのか」「どうしたいのか」を考えているのは私だ。
 対話的か?対話しかない。チーム作業は、それぞれの役割のもと、意見やアイデアを出し合い、ベストなものを考える。パイロット授業を通して学校現場との意見交換や児童生徒の感想もプログラム開発ではとても重要な要素だ。こうしたさまざまな対話をくり返しベストなものを作り上げていく。対話なくして、授業用プログラム開発は成り立たない。
 深い学びか?納品・リリースされたプログラムは、活用実績の増加に伴い新たな課題が生まれてくる。課題を改善し、一層使いやすく役立つ教材にブラッシュアップしていく必要がある。さらに次の社会的な課題を見つけ、課題解決の方法を企業の担当者と考えていく。その中で様々な壁にぶつかることもあるが、今までの経験と新たに身に付けた知識を生かし、いろいろな人の力を借りて授業用プログラム開発を進めることができているという結果がある。やはり、そうだった。

 新たな気づき。
 社会にでたら、自分で課題や役割を見つけ、自分で考え、仲間と助け合い協力して、課題解決に向かわなければならない。解決できなければ代案を考えなければならない。想定外の問題が発生した時にも投げ出さず、解決に向かって動かなければならない。
 生徒一人ひとりが社会にでたときにそうやって生きていけるよう、学校という小さな社会で練習するために掲げられた言葉が「主体的・対話的で深い学び」だということ。

 そして、主体的・対話的で深い学びは生涯続く。
 社会にでたら先生はいない。動機づけや場設定をしてくれる人はいないということだ。
 社会にでたら自分で自分を動機づけして生きていかなければならない。そのことを理解したうえで、日々の学習や活動を通して、社会で生きていくために必要な力を蓄積しているのだ、ということを生徒たちに実感させていく必要があるのだろう。

 自分で自分を動機づけする、これはこれで難しい問題。新なテーマになりそうだ。

執筆者紹介
富野サトミ 教育CSRコンサルタント
株式会社ヒトメディア CSR事業部 執行役員。
食育、金融経済教育、情報リテラシー教育、疾病理解教育など、学校現場で必要とされている
「生きる力」の育成に寄与することができる教育CSRのコンサルティングを行う。
北海道教育大学函館校養護学校教員養成課程を卒業後、教育教材出版社に入社。
幼児教室カリキュラム開発、年中~中学3年生の個別指導とあわせて社員育成の経験を生かし、
学校教育を外側から支えるべく日々奮闘中。

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12/12 更新
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