教育CSRの引き出し

2018年8月23日更新

 一言で言うと、企業のメリット・学校のメリットが両立するように企業と学校現場をつなぐ仕事。
そんな教育CSRのコンサルタント業務に携わって今年で11年目を迎えます。
その役割を通して、日々気づいたこと、感じていることを書いていきたいと思います。

第3回「時間内に授業が終わらず、まとめができない」問題

 「今日の授業はここまでです。この体験で気づいたこと、分かったことを今日からの生活の中で生かしていってください」。
 どこの学校でも、50分授業であれば開始から48分を目処に締めの言葉を言えるようにしている。

 何故か。
 講師派遣(出前)授業は、通常の学校授業と違い「その時間」しかない。事前事後学習を先生に依頼することはできても、先生や生徒にとっては1度きりの時間だ。限られた時間の中で、導入・展開・まとめができなければ「授業」とは言えない。そして、まとめができなければ、授業の「評価」ができなくなってしまう。だからこそ大事にしている。
 ここで言う評価とは、どのような学びがなされたのか、学びを通した気づき、意識や価値観の変化があったのかを確かめること。イコール、授業のねらいが達成されたかどうかの確認だ。
 ねらいが達成されなければ、生徒にとっては活動しただけになり、先生にとっては期待はずれな講師派遣授業となり、次回からの申込みがなくなってしまうパターンだ。大げさに聞こえるかもしれないが、失った信頼を回復するのは難しく、教育CSR活動にとっては致命的なことなのだ。

 「時間内に授業が終わらず、まとめまでできないことが多いがどうしたらよいか」。講師の勉強会や研修会でよく出る質問。
 授業の様子を聞いてみると、「生徒たちの話し合いが思った以上に長くなってしまった」、「(班活動の場合)作業を進められない班への対応に手間取った」、「パソコンの不具合により、進行スライドが映し出されず流れが止まってしまった」などなど。まとめると、「相手(環境や生徒たち)のせいで、授業がままならない」ということ。
 その通りだと思う。その通りだからこそ、まずは自分ができること、対応できることを考えて行動する必要があるのではないか。自分はいつでも自分。しかし、相手は毎回同じではない。事前ヒアリングをし、準備をしたとしても、現場に行ってみないと分からないことが多いからだ。勿論、だからと言って担当者との調整や事前準備をないがしろにしても良いということではないので、誤解のないように。

これらの事を踏まえての質問への私の答えは、

①授業の組み立て直しは講師の自由!

先生も生徒も授業の流れは知らないのだから、状況に合わせて組み立て直しをすればよい。

授業のポイント・ねらいははずさず、必要ない部分をどんどん削る。
もちろん、授業のねらいや教材の特徴、ポイントを理解していることが大前提。

3分足りない時、5分足りない時と場面に合わせて削る部分を前もって決めておくとスムーズ

②まとめなくして授業ではない!

振り返り、それぞれが気づいたこと、分かったことなどまとめることができなければ、それは「活動」であって「授業」ではない。まとめの時間は死守すること。

講師からの「締め」の言葉も決めておくとよい。

 発問の仕方、机間巡視のポイント、発表時間の短縮方法など、授業テクニックについては別の機会にお伝えしていこうと思う。

 教育CSR活動のひとつとして、講師派遣授業を実施している企業は多い。
 だからこそ改めて、講師派遣授業に対する要望やニーズの変化を踏まえ、「授業になっているかどうか」、自社の内容を振り返っていただければと思う。

執筆者紹介
富野サトミ 教育CSRコンサルタント
株式会社ヒトメディア CSR事業部 執行役員。
食育、金融経済教育、情報リテラシー教育、疾病理解教育など、学校現場で必要とされている
「生きる力」の育成に寄与することができる教育CSRのコンサルティングを行う。
北海道教育大学函館校養護学校教員養成課程を卒業後、教育教材出版社に入社。
幼児教室カリキュラム開発、年中~中学3年生の個別指導とあわせて社員育成の経験を生かし、
学校教育を外側から支えるべく日々奮闘中。

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12/12 更新
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