教育法規あらかると

2018年11月15日更新

教育法規あらかると 第88回

教育と福祉の連携

 8月27日に文部科学省は学校教育法施行規則(以下、省令)の一部を改正した。この省令改正は、本年3月に文科省と厚生労働省の合同プロジェクトがまとめた「家庭・教育・福祉の連携『トライアングル』プロジェクト報告」を受けたものである。報告は、障害のある子どもについて作成する学校の教育支援計画が、保護者や医療、福祉、保健等の関係機関と連携して作成するよう「必要な規定を省令に置くこと」を提言している。

放課後デイとの情報共有

 まず、省令の改正内容から見てみよう。
 改正省令は(1)校長は、特別支援学校に在学する児童生徒について個別の教育支援計画を作成すること(134条の2、1項)(2)教育支援計画の作成に当たっては、児童生徒や保護者の意向を踏まえ、関係機関等と支援に関する情報の共有を図ること(同条2項)(3)これらの規定は、特別支援学級および通級指導の児童生徒について準用すること(139条の2、141条の2)──を定めている。つまり、省令改正の眼目は、「教育支援計画の作成」と「関係機関等との情報共有」にあるわけだ。

第1は、教育支援計画の作成である。改正省令は、教育支援計画について「学校と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体(次項において「関係機関等」という)との連携の下に行う当該児童等に対する長期的な支援に関する計画」と定義している。省令改正に伴う文科省の施行通知(2018年8月27日)は、これを敷衍(ふえん)して、教育支援計画は「障害のある児童生徒等一人一人に必要とされる教育的ニーズを正確に把握し、長期的な視点で幼児期から学校卒業後までを通じて、一貫した的確な支援を行うこ とを目的に作成するもの」としている。
 ただし、教育支援計画は、今回の省令改正で初めて定められたものではない。既に特別支援学校の学習指導要領はもとより、小中学校の学習指導要領において「障害のある児童(生徒)などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成すること」と示している(総則第4─2─(7))。

 第2は、関係機関等との情報共有である。前掲の文科省通知は、「関係機関等」として、医療機関、放課後等デイサービス、保健所、就労支援機関等を例示している。これらの関係機関等のうち、特に留意を要するのは「放課後等デイサービス」(以下、放課後デイ)である。
 冒頭のプロジェクト報告は、教育と福祉の連携の課題として、放課後デイを取り上げ、放課後デイについて教職員の理解が深まっておらず、小中学校から放課後デイ事業所への送迎時に、子どもの状態などの情報提供について学校の協力が得られにくいことなどを指摘している。
 放課後デイは、10年に児童福祉法に位置付けられた事業で、その役割は「授業の終了後又は休業日に(中略)生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与すること」である(6条の2の2、4項)。社会福祉法人やNPO法人等のほか、合同会社や株式会社も事業者となることができる。

 厚労省のガイドラインは(1)放課後デイと学校との連携を積極的に図ること(2)年間計画や行事予定等の情報を交換・共有すること(3)送迎対応のルールを作成し事前調整すること(4)下校時のトラブルや子どもの病気・事故の連絡体制について事前調整すること──等を定めている。この内容は、文科省の特別支援教育課長通知(14年4月14日)で学校に流されているが、趣旨徹底が不十分だったようだ。今回の省令改正により両者の円滑な連携 促進が期待される。

国立教育政策研究所名誉所員 菱村幸彦
出典:内外教育 2018年10月12日号

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