教育法規あらかると

2018年5月10日更新

教育法規あらかると 第79回

特別免許状による英語専科教員

 新年度から小学校の英語教育の早期化と教科化を定める新学習指導要領の移行措置が始まるが、英語教育の専科教員の確保が課題となっている。
 文部科学省は2018年度予算案で移行初年度分として、英語教育の専科教員1000人を計上し、専科教員の英語力の要件について①中学校・高校の英語の免許状を有する者②2年以上の外国語指導助手(ALT)の経験者③CEFR(欧州言語共通参照枠)B2相当以上の英語力を有する④海外大学または青年海外協力隊、在外教育施設等で2年以上英語を使用した海外留学や勤務経験のある者――を挙げている。このうち、②~④で教員免許状を有していない場合、特別免許状の授与が必要となる(本誌1月5日号)。

教育職員検定の内容と方法

 では、特別免許状とは何か。周知のように、わが国では教員となるためには、教員免許状を有することが必要である(教育職員免許法3条)。しかし、教員免許状は持っていないが、優れた知識経験を有する社会人を教壇に招くことは、学校教育の多様性や活性化を図る観点から有益である。この趣旨から、1988年に特別免許状制度が創設された。対象となるのは、小学校、中学校、高校等における全教科である。
 特別免許状は、都道府県教委が行う教育職員検定に合格した者に授与される(5条3項)。教育職員検定は、任命者が、学校教育の効果的な実施に特に必要があると認める場合に①教科担当に関する専門的な知識・経験または技能を有すること②社会的信望があり、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っていること――を確認するために行う(5条4項)。特別免許状を授与するのは、都道府県の教育委員会で、その効力は、10年間、授与された都道府県においてのみ有効である(9条2項)。
 教育職員検定の実施方法は、まず、教育委員会において書類審査を行い、次いで、書類審査合格者に対して、学識経験者による面接を実施して、合否が決定される。

 特別免許状制度を創設したものの、都道府県によっては、特別免許状の審査基準を定めていないなど、制度の活用が進まなかった。そこで、14年6月に文科省は、「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」(以下「指針」)を策定し、特別免許状の積極的な授与を促した。
 指針は、教育職員検定の方法について①教科に関する専門的な知識経験・技能の確認②社会的信望、職務に必要な熱意の確認③学校教育の効果の確認――等について詳しい基準を示し、特に教員としての資質については第三者の評価による確認を求めている。

 ただ、特別免許状による教員の任用に当たっては特別の配慮が必要となる。指針は、特別免許状教員が学校教育について不案内であることを考慮して、次の留意点を示している。

(1)

特別免許状教員は、指導計画・指導案・教材の作成や指導方法・指導技術等に通じていないことが考えられるので、勤務校において特別免許状教員に対し、研修計画を立案し、実施する必要があること。

(2)

特別免許状教員は、各教科のほかに、道徳科、総合的な学習の時間、特別活動、生徒指導等の担当も可能であるが、これらを担当させる場合は、その内容についても研修を行うこと。

(3)

外国人で日本語力が不十分な特別免許状教員に対しては、学習指導要領や教科書の内容や校務等について説明や支援を行うこと。

 なお、特別免許状制度のほかに、免許状を有してない者が担任教員の補助者として、教科の領域の一部を指導することができる特別非常勤講師制度がある(3条の2)。これは都道府県教委に届け出るだけで実施できる。

国立教育政策研究所名誉所員 菱村幸彦
出典:内外教育 2018年2月2日号

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